茶臼山動物園「オランウータンの森」 ④優しい壁になりますように!
屋外展示場 『オランウータンの森』は、周囲を4mの壁で囲まれています。
この壁は垂直にそびえ立っているため、森の人 オランウータンでもよじ登ることはできません。
(オランウータンはマレー語で森の人という意味なんですよ~)
「オランウータンの森を囲む高さ4mの擁壁」
「コンクリートブロックの隙間はしっかりと埋めてオランウータンの指が入らないようにします」
こちらの擁壁の目地にもDKボンド工法が施されています。
経年劣化によって目地が落ちないよう、通常のモルタルよりも接着性の高い
DKボンドモルタルを採用していただきました。しっかり接着されているので、
数年後にポロポロ落ちてきてしまうということもないでしょう。
「森から観覧場の眺め」
観覧場の前には幅4m・深さ2.3mの水堀があり、水の苦手なオランウータンが
逃げ出さない造りになっています。
写真に写っている擁壁は発注者様からのご要望に沿うため、現場代理人が試行錯誤した賜物です。
擁壁の表面をズームアップしてみると・・・
「この壁の表面、どこかで見覚えありませんか?」
なんと!この壁の凹凸は梱包時に使用する『プチプチ』で作られたものなんです。
発注者様から、コンクリート打ちっぱなしの壁ではなく周囲の木々と自然に馴染むように
苔を生やせないか?というご要望をいただき、様々な物をコンクリートに押し当てました。
苔を生やすためには、表面の穴に ある程度の土が入っている必要がありますが凹の部分が大きすぎると
土が流れてしまいます。また、小さすぎると土が入らず、苔の仮根(かこん:根に似た器官で
土壌や岩に自身をくっつける役割を持つ)が付着しません。
いったいどの位の凹凸が適しているのか?
まずは現場で用意しやすい物から試しました・・・
「吸出し防止材」
耐水性・耐候性に優れた天然繊維を特殊な加工と合成樹脂接着剤によって、
強度と隙間を有するよう加工された排水処理資材です。
「麻袋」 こちらは皆さんご存じかと思います。
「テンサーマットレス」
軟弱地盤を補強するために用いられる土木工事用材料です。
これらでコンクリートの表面に凹凸を付けようと試みましたが、
うまく跡が付かず最後の試作品が梱包材プチプチでした。
コンクリートが固まり、プチプチを外してみると予想に反して空気層は潰れず
しっかりした凹凸ができていました。こんなに身近な物がいい仕事してくれるなんて!
今後は物を包むだけじゃなく、何かほかの事にも使えるかもしれませんね。
「早く苔が生えますように」
中央部の擁壁をご覧いただくと、上半分の色が変わっているのが見て取れると思います。
こちらは発注者様が土を塗り、自然に近い色合いを作ったそうです。
コンクリート打ちっぱなしの擁壁にはない温かみを感じられますね。
プチプチの擁壁にも数年後には苔が生え、森に馴染むモスグリーンになっていることを願います。