茶臼山動物園「オランウータンの森」 ⑤快適な環境を造るために
屋内展示室を快適空間にするため、設備にも各所に工夫がなされています。
2部屋ある寝室には床暖房やパネルヒーターが設置され、真冬でも暖かい環境で
過ごすことができます。
「寝室の壁に設置されたパネルヒーター」
「こちらは天井に設置された遠赤外線ヒーター」
「床暖房のコントローラー」
展示室の上方には湿度を保つためのミスト吹出し口が設置されています。
森の人が住むマレーシア・インドネシアのボルネオ島は熱帯気候に属し、ほぼ赤道直下に位置します。
島全土を熱帯雨林に覆われ、雨季・乾季を問わず天候は短期間で刻々と変わり雨量も多く湿度が高い気候です。
そんな高温多湿の環境に展示室を近づけるため、暖かさだけではなく加湿できるように
配管から直接ミストが出る仕組みの噴霧装置を設置しました。
「屋内展示室の壁から出ているノズル」
壁裏から繋がる配管設備の先はこのようなノズルになっており、こちらからミストが
噴き出して加湿することができます。
以前、展示室の天井素材『ETFE』について書かせていただきましたがこちらは
ETFEに送風する設備です。三層構造になっているETFE素材の真ん中には空気層があり、
送風システムにより降雪などの荷重に耐えられるよう内圧を自動管理しています。
「ETFE送風機」
「ETFE送風機の操作盤は展示施設内の壁面にあります」
展示施設の外側には、快適設備のための配管やダクトがたくさん。
危険ですので、来園された際は近づかないようにお願いいたします。
「屋内展示施設とクマ舎の間の通路には配管がいっぱい」
オランウータンの森と屋内展示室、一連の工事が完成しお引越しを待つばかりとなりました。
この度の工事は相手がヒトではなかったため、想定外を想像して発注者様とも様々な知恵を出し合い
快適と思ってもらえる環境作りができたのではないかと思います。
2頭のオランウータン、キッキとフジコが新しい住処を気に入ってくれると嬉しいですね。