法面維持補修に当社の緑化工法が効果を発揮!
平成21年に信越地区で施工した緑化工法:「バイオ・オーガニック工法」(客土注入マット工法)の現場を紹介します。 現場に面する道路は千メートルを越える山々の尾根や沢をつたう昔からの街道で、現在もスキー場や山村の集落を結んで幹線と連絡する重要な路線として利用されています。
自動車交通の発達に伴い切土や盛土をして拡張された現在の山間の道路は、ほぼ例外なくこうしてできた人工の法面と山側や谷側で接しており、その法面には随所に落石防止対策や崩壊防止対策などが施されています。
今回の現場も例にもれず、落石防止対策として落石防止網が施工してありましたが・・・
高山でもあり植生条件が厳しかったためか、表土を覆って法面を風雨の浸食から保護するべき植物の進入・繁茂が乏しかったようです。
雨や雪により浸食された法面の表土は土中の石とともに流れ落ち、網を巻き込んで内側・外側に堆積します。
(落石防止網下部に土砂が堆積し、その重みで網が破損していました。)
やがてこの土砂のかける重量に落石防止網の固定部や網自体が耐えられなくなると、破損して土中の石が剥き出しになった法面が露出したり、崩落した土砂を内側に受け止める機能を果たさなくなるばかりか、法面の中腹などに極めて不安定な土砂溜まりをつくることすらあります。
このような状態になってしまうと、法面に沿った道路を通行する人や車は落石や路面の転石・土砂流出による危険を免れません。
(落石防止網は破損し、いつ落石が発生してもおかしくない状況でした。写真左下の土砂に埋もれているのが、ずり落ちた落石防止網です。)
不安定な人工法面を早急に、かつ広範囲に安定化させる工法として選択されたのが「バイオオーガニック工法」でした。
特にこうした不測の事態には、コンクリート構造物の法面対策工に比べはるかに迅速な対処が可能であり、施工後も手がかからずやがては周囲の自然と融和し景観を保ちます。
(平成21年7月に施工しました。)
「バイオオーガニック工法」は、袋状のマットを法面にアンカーピンで固定し、土をベースにした植生基盤材を圧送注入して充填する手法で施工します。
表層をマット一体で覆うため、表土の侵食や剥離も防止します。
この道路においては冬季は積雪で閉鎖されるほど雪が多いため、吹付工法では植生基盤材の流亡が起こりやすく、安定した植生定着の成果が期待しづらい一方「バイオオーガニック工法」は袋状マット内に植生基盤材が保護されるため、流亡もなく緑化が持続します。
写真は袋状マットから植物が発芽生長し、被覆されていく様子です。
今後は後背地などから現地由来の植物が進入し、景観と一体化した法面になることが期待できます。
(こちらは、平成21年10月現在の状況です。)
写真手前の法面は過去に落石防止網の施工された箇所。
表土の露出した法面は侵食されるがままに経過すると、上部がそげて下部がはらんできます。小規模な落石や土砂流出の対策としてでしょうか、写真の箇所では法面の最下部に〈板柵〉が追加で施工されています。
一方、写真奥の緑の法面が「バイオオーガニック工法」施工箇所です。
こちらは手当ての必要のない安定した法面を形成していく途上にあります。
最後までお読みいただいた皆様は、両者の違いをお気づきになられましたでしょうか。