平成30年度 防災・安全交付金(火山砂防)工事が竣工しました
本工事の施工場所は下高井郡山ノ内町落合、横湯川の流域にあり志賀高原一ノ瀬スキー場付近の
自然あふれる山間部になります。
現場へ行き来する林道整備の作業まで遡ると、工事は令和元年5月から開始されました。
約2年間の工事が終わり、昨年の本格的な積雪前に撤退し令和3年2月8日に竣工となりました。
横湯川・角間川沿いの温泉街はこれまで台風や大雨による土砂・洪水被害を幾度となく受けており、
長野県が砂防事業を開始した明治39年(1906年)以降も、明治43年の豪雨により砂防施設はほぼ
破壊されて現存していません。
大正7年(1918年)から内務省直轄の砂防工事が行われ、その後は長野県に事業が引き継がれ現在は
65の砂防施設が現存し、地域の暮らしを見守っています。
「高さH=14.5m 横幅W=37.5m 体積V=1,694m の砂防堰堤 」
現場はいわば山と山の間にある谷底のような場所、野猿公苑から歩いて向かう獣道ルートもありましたが
安全面と効率を考慮し、車で一ノ瀬スキー場の駐車場横にある金倉林道で索道基地まで下るルートを取り
索道基地からのその先はモノレールで下る、資機材の搬入ルートより入場していました。
一ノ瀬にある現場事務所からは片道30分の道のりです。
金倉林道は幅が狭くカーブが多いうえ、谷側は急傾斜地となっているため大型車やトレーラー等の車長の
長い車両は通行が難しく、大型重機の搬出入は10kmを半日かけて自走するなど困難な道でした。
「資材は索道基地からケーブルクレーンとクローラーダンプで現場まで運搬しました」
志賀高原は非常に雪深く、冬季(11月~5月)は作業は基より金倉林道も閉鎖されているため
施工箇所に行くことすら出来ず、5月初旬の時点で積雪が1m以上を超えていました。
ブルドーザー及びバックホウにより除雪し、車両が通れるまで約2週間かかりました。
「ゴールデンウイークでも1m以上の積雪です」
こちらの現場も令和元年東日本台風の際は大きな被害を受けました。
令和元年9月より、現場でコンクリートやセメントソイルを製造し打設を始めておりましたが
10月12日の台風により横湯川が増水し、流出した土砂によって施工途中の堰堤が埋まってしまいました。
やっとの思いで現場に搬入した発電機や資材も流されてしまったため、下流域を捜索し回収作業に追われました。
台風19号により施工途中の堰堤が土砂に埋まりました。復旧作業には3週間程度要し、
11月から再開するも降雪時期となり作業不可能のため資機材等を搬出しました。
こちらは資機材を再度搬入し、作業開始となった令和2年5月半ばの様子です。
令和元年東日本台風では、昭和25年8月の穂波温泉が流出した災害の2倍を超える、
290mm/日の雨量を記録しましたが、これまでの砂防堰堤整備に加え3か年緊急対策で
河川内の樹木伐採や堆積土を撤去した効果により、下流の人家や温泉街に被害はありませんでした。
夜間瀬川流域を保全する土砂災害対策により、これまでに横湯川流域では33基の砂防堰堤が整備されています。
川中島建設では、引き続き長野市建設業協会と連携して地域の安心安全のための施策に対応してまいります。